【チオグリコール酸アンモニウム】について説明できますか?

チオグリコール酸アンモニウムはなぜ使われる?美容師が知っておきたいチオの仕組み

パーマや縮毛矯正で使われる還元剤の中でも、昔からよく使われているのがチオグリコール酸です。美容師なら「チオ」と呼ぶことも多いと思います。

では、なぜチオグリコール酸そのものではなく、チオグリコール酸アンモニウムという形で使われることが多いのでしょうか。

まず、チオグリコール酸にはSH基という部分があります。このSH基が毛髪内部のシスチン結合、つまりS-S結合に作用し、結合を切断・組み換えしやすい状態にすることで、髪の形を変えるための土台を作ります。

ここで重要なのがアルカリです。

チオグリコール酸は、アルカリ側になるとSHの一部がS⁻という状態になります。このS⁻は、通常のSHよりもS-S結合に対して反応しやすい性質があります。

イメージすると、

チオグリコール酸
↓
アルカリ性にする
↓
SHの一部がS⁻になる
↓
毛髪のS-S結合と反応しやすくなる

という流れです。

では、なぜアンモニウムなのでしょうか。

チオグリコール酸は酸なので、アンモニアを加えると中和反応が起こります。するとチオグリコレートイオンとアンモニウムイオンが存在する状態になります。これがチオグリコール酸アンモニウムです。

ここで誤解しやすいのが、「アンモニウムが付いたから還元力が強くなった」という考え方です。実際には少し違います。

アンモニウムそのものがシスチン結合を切っているわけではありません。主役はあくまでチオグリコール酸由来の成分です。

アンモニアを使うことでアルカリ性の処方を作りやすくなり、毛髪を膨潤させたり、チオグリコール酸が反応しやすい環境を作ったりできます。

また、「酸はイオンにならない」と考えるのも間違いです。チオグリコール酸は水の中でも一部がイオン化しています。酸性の状態では、COOHとCOO⁻が行き来しているような状態です。

そして還元反応を考えるときに特に重要なのが、COOHではなくSHの部分です。

SH
↓
S⁻

この変化が起こるほど、チオグリコール酸はS-S結合に反応しやすくなります。

つまり、チオグリコール酸アンモニウムを理解するときは、「アンモニウムが還元力を与えている」と考えるよりも、「チオグリコール酸を塩の形で扱いやすくし、アルカリ性の環境を作ることで、還元反応が進みやすい状態を作っている」と考える方が正確です。

縮毛矯正やパーマで薬剤を選ぶとき、還元剤の種類や濃度だけを見るのではなく、pHやアルカリ剤、毛髪の状態、放置時間などを含めて考える必要があります。

同じ「チオ」を使っていても、処方や使い方によって仕上がりが変わるのは、このあたりに理由があります。

薬剤は名前だけで判断するのではなく、「その成分がどんな状態で存在して、髪の中で何をしているのか」まで考える。

これが、縮毛矯正の薬剤選定ではかなり大切なポイントだと思います。

 

SOLANA

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